Re: モンハン小説を書きたいひとはここへ! 五代目!( No.5 )
  • 日時: 2015/10/20 01:05
  • 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: jtT6COv9)

 モンスターハンター 短編小説シリーズ
                                 
 〜モノクロノセカイ〜 

 ーー俺は、いつだって独りだったーー。
                                      
 吹雪に覆われた小さな村、ポッケ村に来る途中にティガレックスに襲われた時も、村に来てから依頼を受けて成功した時も、失敗した時も、ティガレックスとの決戦に勝利した時も、上位クラスのハンターになっても、古龍を相手にしている時も、覇竜アカムトルムを討伐した時も、
 独りだった。
 別に寂しいとか仲間が欲しいとか、そんな感情は起きない。
 独りでいるのが長過ぎた故に慣れ過ぎた。
 村に来てから、五年か。
 何者の手助けも借りず、俺はモンスターを薙ぎ払い、吹き飛ばしてきた。
 今更、俺に仲間なんか要らない。
 一人で十分だった。
                                             
 俺が二十歳になったばかりのある時、村長は「里帰りをしてみてはどうか?」と訊いてきた。
 帰る故郷があるなら、独りなんて言わない。
 それでも俺は何故か、村長の言葉に頷いていた。
 いや、理由は分かっていた。
                                              
 ーー俺は、死に場所を欲しがっているに違いないーー。
                                           
 生きる意味を見出だせない、俺なりの答えだったのだろう。
 潔く生きることの出来ない俺は、死ぬべきだ。
 いや、どんなに汚れても、死んでしまえばそれきりだ。
 ただ生き続けるか、さっさと死ぬか。
 至極簡単な二者択一だ。イエスかノーかくらい簡単だ。
 普通の心臓なら前者を選ぶところだろうが、俺は自然と後者を選んでいた。
 とんだ自殺志願者だな、と心の中で自分を嘲りながら、俺は里帰りとは名ばかりの自殺へと旅立っていった。                                        
                                           
                                           
                                            
                                            
 村を出て、ほんの数時間。                               
 空には暗雲が立ち込め、吹雪が強くなってきている。
 この感覚を俺は知っている。
 見上げれば、暗雲を切り裂いてソイツが降りてくる。
 鋼龍クシャルダオラ。
 昔、と言っても二年ほど前に相手をしたことがあったが、あの時は見えない風の障壁に阻まれて、撃退することに死に物狂いになっていたな。
 が、今は違う。
                                        
「ゴォアァァァァァァァァァァ!!」

 クシャルダオラは地表に降り立つなり、俺に対して剥き出しの殺意を向けてきた。
 そりゃそうだろうな。

 だって俺、黒き神を越えた力持ってるし、敵だと思われても仕方無い。

 背中の、黒き神を封じ込めたガンランスを抜き放ち、構えた。
 悪いけど、お前なんか俺を殺すに値しねぇよ。
 
「邪魔だ」

 構えた砲口の引き金を引き絞れば、封じられた黒き神が吼える。
 俺を死の淵まで叩き落とした力だ。喰らったら、
 死ぬ。
 放たれる轟音の嵐は、雪どころか地盤すら吹き飛ばし、クシャルダオラをズタズタに引き裂いていく。
 俺が放った一撃で、クシャルダオラは地に伏せた。
 相手が俺で悪かったな、いや、お前が弱いのか?
 どっちでもいいんだけどね。
 俺は何事も無かったかのようにガンランスを背負い、自分で吹き飛ばした地盤を再び踏み締める。
 さて、クシャルダオラじゃ役不足だもんな。
 どこかに、俺を殺せるだけの力を持ったヤツはいないもんか。
 テオ・テスカトルもナナ・テスカトリもオオナズチも、キリンも役不足だ。
 伝説の黒龍でもいれば丁度いいんだろうけど、そんなに都合良くないわな。
 
 気がつけば、雪山の奥深くまで来ていた。
 こんなところに道なんてあったのか。ここの生活が長かった俺でも知らなかった。
 俺は興味本意でそこへ足を踏み入れた。
 
 その先。
 そこに眠っていたのは、白き神だった。
 アカムトルムと対を成すかのような、白。
 まるで目覚めの時を待っているかのように、ヤツは眠っている。
 そうだ、こいつがいい。
 俺はこいつと崇高なる決闘を行い、そして散る。
 うん、我ながら臭すぎてゲロ吐きそうなロジック付けだ。
 決闘なんて言っても、そんなにカッコイイことじゃない。
 互いに防衛本能を全開にした、血の啜り合いだ。
 俺はおもむろにガンランスを抜いて、ソイツの耳だろう部位に砲口を押し付ける。

「はーい、おはよーございまーす」

 クシャルダオラに喰らわせたのと、同じモノを放った。
 するとソイツは、鬱陶しそうに首をもたげ、ゆっくりと起き上がった。
 スコップのような顎、サメのようなヒレ、丸くて太い爪。
 これだけ聞くと、なんか弱そうに聞こえるけど、それは大間違い。
 さっきのクシャルダオラなんざ、比べ物にもならない。
 ソイツは俺を睨み付け、後ろ足で立ち上がった。

「ヴゥオォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 咆哮だけでソイツの周りの空気が吹き飛ぶ。
 そんなところもアカムトルムそっくりだ。
 俺は口の端を歪めて、ガンランスを構え直した。

「俺を殺してみろよ」

 確かめてやろうじゃないか。
 コイツが、俺を殺すに値するだけの怪物かどうか。
 俺に、最高の死を与えてみろ。
 安心しな、相手は俺だけだ。

 はてさて、俺は生きるのか、それとも死ぬのか。

 ーーどっちみち、独りだけどなーー。