Re: モンハン小説を書きたいひとはここへ! 五代目!( No.271 )
  • 日時: 2016/03/07 12:09
  • 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: 4/s5Tgok)

 モンスターハンター 〜星屑の瞬き〜

 二十九章 Reunion

 毅然として立つ少女。
 ガレオス装備の男はその彼女がまだ年端もないと分かり、見下すような態度を取る。

「やめなさい、だぁ?テメーみたいな小娘が、どの口を……」

「お、おい待て……」

 すると、何故かコンガ装備の男は制止する。

「あれ、レイア装備だぞ……!」

 その指が向けるのは、少女の深緑の鎧。
 ドスガレオスやババコンガなど歯牙にも掛けない、生態系の頂点、雌火竜リオレイアの素材を用いて作られた、一流ハンターの証。
 それも、年端もないほどの若さで、だ。
 コンガ装備の男はまだ身の程をわきまえているようで、足早に立ち去ろうとしている。
 だが、ガレオス装備の男はそんな制止など聞いていなかった。

「ハッ、だからどうした!ハンターはお嬢様の道楽じゃ勤まらねぇことを教えてやら……」

 少女に拳を振り下ろそうとするガレオス装備の男だが、ユニが横からその手を取り上げると、思いきりぶん投げた。

「あ!?」

 酒場の床に叩き付けられて悶絶するガレオス装備の男。

「そうだねぇ、道楽なんかじゃハンターは勤まらない。でも、強ければ問題ないよね?……それに、女の子に手ぇ上げるなんて、ナンパとしてそれはどうなのかな?」

 ユニもこう見えて、狩猟笛を軽々と振り回して飛んだり跳ねたりしているのだ。成人男性一人投げ飛ばすなど造作もない。

「こっ、このガキどもが……!」

「そこ!取り押さえて!」

 悪態をつこうとしたガレオス装備の男に数人のギルドガールが駆け寄ると、一斉に関節や筋を締め上げる。

「いでででっ、わ、分かった、大人しくするっ……」

 事態の収束はギルドガールの方に任せて、シルバとユニは、レイアシリーズの少女に向き直る。
 シルバからすれば、見間違えようのない、一ヶ月前に分かれてしまった懐かしい顔。

「エー、ル……」

「……お久し振りですね、シルバ様」

 シルバはどう応えればいいか戸惑い、エールも言葉には詰まったが、挨拶だけは口にする。
 ユニも小首を傾げながら両者を見比べている。

「その、怪我はもう大丈夫なのか?」

「はい。すっかり元気になりました」

「ちゃんと、食べて寝てるか?」

「朝昼晩、ちゃんと食べて、狩り場にいるとき以外はちゃんと夜には寝てます」

「……そっか」

 なら安心だ、とシルバは安堵する。
 
「シルバ様も、元気そうで……元気で、いてくれて、良かっ……!」

 エールの声に突然嗚咽が混じり、泣きじゃくる。

「お、おい……何も泣かなくても……」

「だっ、だって……っ、シルバ様が、いなくてっ、私、すごく不安でっ……」

「分かったから、とにかく泣き止んで」

 シルバはまだ開けていないお手拭きを開けると、それでエールの涙を拭いてやる。
 しばらく様子見を続けていたユニだが、そろそろ声を掛けた。

「えー……っと、感動の再会のトコ悪いけど、状況説明して?」

 

 エールが泣き止んでから、彼女を座らせる。
 エールとユニが並んで座り、シルバと向かい合う形になる。

「初めまして。以前にシルバ様と組んでいた、エール・エスト・レイアと申します」

 ぺこり、とお辞儀するエールに、ユニは合点がいったように「あぁ」と頷いた。

「料理上手な、シルバくんの彼じょ……」

「それはもういいからっ」

 爆弾発言を放り込もうとしているユニを咄嗟に黙らせるシルバ。
 
「ベルナ村、龍歴院所属の、ユニ・ガブリエルだよ。よろしくね」

 握手握手ー、とユニはエールの手を取ると上下に振る。エールの方も戸惑うものの、悪くは思っていないようで、ユニのスキンシップを受けている。
 ユニがエールとの握手を終えてから、エールは少しだけ訝しげにシルバに質問する。

「あの、シルバ様。ユニ様とはどういった経緯で……?」

「話せばちょっと長くなるけど……」

 シルバは、エールがココット村を去ってからの事を簡潔に話した。



「そうだったんですか……と言うことは、シルバ様は今、ベルナ村に?」

「あぁ、村長同士で話は付いてたから、厄介になってるよ」

 なんか情けないな、とシルバは頭を掻く。

「そう言えばエール、その装備ってレイアシリーズだよな?」

「はい。怪我が完治してから、ユクモ村で依頼を受けて、先日狩猟した個体から作ったんです」

「へぇ……、俺なんか未だにランポスシリーズだぞ?」

 たった一ヶ月で大きく離されてしまったようだ。

「でも、シルバ様のランポス装備も使い込んでますね。鎧玉での強化も複数回施しているようですし……」

 今のエールのレイアシリーズにはない、幾多の戦いを潜り抜けた、実戦を知る証。

「それでもレイアシリーズってすごいよ。それに、可愛いし」

 ユニがエールの隣からペタペタと深い緑色の装甲を撫でる。

「防具だけじゃなくて、それを着けてる人も可愛いなんて、反則でしょ」

「や、やだっ、可愛いだなんて……ユニ様だってそうじゃないですか」

 可愛いと言われて頬を赤くするエール。

「その言葉は嬉しいけど、自分より可愛いコに言われても……わー、髪もサラサラで柔らかーい」

「あぅ……」

 ユニはエールの桜色のロングヘアを撫でる。
 どう言えばいいか分からず、また言葉詰まる。

「そうだ、ユニ。ドンドルマには数日滞在してていいんだっけ?」

 思い付いたように、シルバは話題を持ってこようとする。

「うん、そうだけど?」

「だったらさ、これから三人で狩りにいかないか?」