翼の勇車嘆きのss
「畜生……」
とある辺境の地。人間も、モンスターも、生物ならおいそれと辿りつけないようなその地にて――一台の戦車のような巨大建造物が、竜のそれのような前足で頭を抱えていた。
「どうしろってんだ……」
その名は翼の勇車。遥か太古の技術によって生み出された勇車へ、さらに現代の科学力を錬金という形で融合した空を飛ぶ巨大戦車――なのであるが、彼は今、そんな壮大な自らの生い立ちなどどうでもいいと言わんばかりに盛大に悩んでいた。一体何が、彼をそんなにも苦心させているのか。傍から見ているだけでは到底分からないだろう。
「文字数オーバーじゃねぇか……」
彼が自らの内部に搭載されている制御コンピュータをインターネットに接続し見ていたのは、とある掲示板のスレッド。ウィンドウを複数展開して作業を行っていた彼の意識の先に赤く表記されていたのは、『残り文字数:0』という簡潔な一言であった。
「これ以上どうやって切り詰めろってんだぁ!?」
全身のモーターをギュルンギュルン言わせ、関節部分から水蒸気を吹き上げながらガックリと項垂れる。内部画面に浮かんだウィンドウのいくつかが、右上の×印を押されて閉じられていった。
彼は古代と現代の高度な科学を融合した兵器である。しかしそれと同時に、ネット小説作家という肩書きを持っていた。最初のころはのんびりと気ままに書いていたのだが、このところは専門サイトでの投稿なども行い、少なからず評価も獲得できるようになった駆け出し作家なのである。そして彼が見ていたのは、自らの小説デビューの場であるモンスターハンター小説スレッド――の、後継スレッドである。既に五代目にも及ぶこのモンハン小説スレッドであるが、何を隠そう、その五代目のスレッドを立ち上げたのが彼なのだ。
「有難いよ……シリーズ引き継いだからとはいえ、自分の立てたスレに人が来てくれるのは素直に嬉しいよ!」
自らの作家としての成長の場であるこのスレッドの主を引き継げるというのは、彼にとってとても光栄なことであった。最も、先代の主に許可を取ったわけでもなく勝手に作ったのだが。それでも過去にシリーズで活躍していた作家は勿論、新人の作家も次々とこのスレッドへと集まり、盛り上げてくれていた事が彼には嬉しかったのだ。しかし……。
「 でもさぁ!」
黄金に輝くその竜の尾のような部位を、地面へと叩きつけ、空を仰ぎ見る。
「目次作るのに文字数制限、少なすぎるんだよぉぉぉぉぉ!」
荒野に、竜とスライムを模した巨大兵器の咆哮が木霊した。
――――――
はい、というわけで、とうとう目次の文字数が上限である3000文字を突破いたしました。これだけの文字数に至るほど沢山の作品を皆さんが投稿してくださったという事で嬉しい気持ちで一杯なのですが、この先どうやって目次を表記していくのか悩みに悩んでいる次第です。
ひとまず目次は更新しますが、途中までとなってしまっておりますのであしからず……。