モンスターハンター 〜星屑の瞬き〜
二十六章 よし、貴様の学習能力を見せてみろ!
ゲリョスの狩猟から帰還したシルバとユニは、報酬を受け取ってから道具などを自室に置き、それからベルナ村のあるところを訪れていた。
武具屋の裏手に構えている、少し大きな建物やテントが見えるところだ。
簡素な木製のドアを叩くユニ。
「きょーかーん!起きてますかー!?」
コンコンッ、ではなく、ドォンドォンッとドアを殴り壊すような勢いだ。
「我輩だ、教官だ!だからドアを壊すようなノックはするなと言っているだろう!貴様が壊したドアは全部我輩が自分で直しているのだぞ!?」
やめてくれと喚きながら、クロオビシリーズを身に付けた中年の男が出てくる。
「こんちわーっ!狩技学びに来ましたーっ!」
ユニは敬礼しつつ挨拶する。
教官はユニとその隣にいるシルバの姿を見比べて、
「年頃の男女が一緒に……リア充爆発せんかい!!」
などと口にした。
シルバは頭に「?」を浮かべ、ユニはそれを無視して用件を伝える。
「新しい龍歴院のハンターさんなんだけど、狩技知らないんだって」
「なぁにぃぃぃっ!?狩技を知らない、だと……!?」
教官は信じられないような声を上げながらシルバの方に向き直る。
「えっと、シルバ・ディオーネです。よろしくお願いします」
とりあえず名乗りつつ、頭を下げるシルバ。
「う、うむっ。我輩はこのベルナ村のカリスタ教官だ」
とにかく落ち着いてから、教官はいつも通りの尊大な態度で応じる。
「今から、ひよっこハンターの貴様に狩技のなんたるかを叩き込んでやろう!我輩からの教えを実践すれば、空の王者リオレウスもババコンガの屁のカッパ!」
それだけでリオレウスを狩れるなら誰も苦労しないのだが、そこは黙っておくべきだろう。
カリスタ教官の指示に従い、シルバとユニは早速訓練所の中に入る。
「ふむ、狩技の「か」の字も知らないとなれば、まずは基本の基本からだな。まずは生肉を剥ぎ取って、それを肉焼きセットで焼いてこんがり肉を……」
「シルバくん、帰ろっか」
「えっえっ……」
ユニはシルバの手を取ると、そのまま引いて帰ろうとする。
「待て待て、我輩のちょっとしたお茶目ではないか。ってか真面目にやるから帰らないで!」
泣いて引き留めるカリスタ教官。
ユニとシルバが足を止めるのを確認してから、カリスタ教官は態度を戻す。
「貴様は見たところ、双剣使いだな?ならば、最初に貴様に教えるのは、『血風独楽』だ!」
説明しよう!
『血風独楽』とは、双剣を構え前進しつつ、横回転による連続攻撃で対象を斬り刻む狩技。技の途中で二回、方向転換をすることが可能。元々は、とある部族に伝わる神への奉納の舞をモチーフに発案されたと言う噂。
一通りその説明を聞いてから、シルバは次の質問に入る。
「じゃぁ、その狩技ってどうやって使うんですか?」
「それはだな……」
カリスタ教官は戸棚を開け、使い古されたチェーンシリーズの防具と、ツインダガーを指す。
「今から身体で覚えてもらうのだ!」
訓練闘技場の中心には生肉を食べている赤ら顔の中型モンスターがいる。
跳狗竜ドスマッカォ。
マッカォ達のボスではあるが、ここのドスマッカォは捕獲されたドスマッカォを飼い慣らしているようなもので、実際の狩り場にいるドスマッカォよりも弱体化している個体である。
シルバはツインダガーを構えつつ、ドスマッカォと対峙する。
「「己の中で感じる"気"の高まりによって狩技は使える!」ってなぁ……ムチャクチャな説明じゃないか……」
まぁいいや、とシルバは気持ちを切り替える。
「とりあえず今は、お前を狩り倒す!」
「クワオォォォォォッ!!」
狭くも広い闘技場と言う中で、シルバとドスマッカォは激突するーーーーー
が。
「…………」
その三分後。
そこには闘技場の地面に横たわるドスマッカォと、息ひとつ切らしていないシルバの姿があった。
「……いくらなんでも、弱すぎやしないか?」