モンスターハンター
〜猛者たち〜
9話「狩技発動の時」
リオン「ラキアーーッ!!」
ドスゲネポスに吹き飛ばされ、熱い砂地を2度3度転がり、止まる。
しかし、彼は起き上がらない。
リオン「よくもラキアを!許さないニャ!!」
周りの子分どもを凪ぎ払い、そのボスの所へ急行する。
リオン「喰らうがいいニャ!我が家、秘伝の奥義!弱点特効の技ニャ!!」
リオンは跳躍し、アイアンネコソードの鋭い穂先を、ドスゲネポスの首筋につきたてる。
グギャガァァ!?
それが痛手となったのか、ドスゲネポスは、エリア4に退散していく。
リオン「どうだ見たかニャ!我が家秘伝の・・・そうだ、ラキア!」
ラキアの倒れている方に振り向くと、すでに起きていた。
どうやら、気絶していただけのようだ。
ラキア「ふわぁよく寝た・・・じゃなくて、ドスゲネポスは!?」
何を言ってるニャ、と言いつつ説明する。
リオン「エリア4に行ったニャ。大変だったんだからニャ、あいつらの全員を相手にするのは。」
あの時は運よく、怒りが発生したから、ここまでやれたのだ。
ラキア「でもさ、リオン叫んでたよね。確か・・我が家秘伝の〜なんたらって。」
なぜそこだけ覚えてるニャ!と、内心思いつつ、話を逸らす。
リオン「ほ、ほら、早く行かニャいとドスゲネポスがどこかに行ってしまうニャ。ペイントボール付け忘れてるニャ。(言えないニャ、適当に言ったらああなったなんて、言えないニャ)」
それもそうだなと、ラキアは頷き、応急薬を一本飲み干して、武器を研ぎ直す。
リオン「そういえばラキア、狩技はもう使えるニャ?」
狩技は太刀の練気や、双剣の鬼人強化ゲージと同じで、相手に攻撃を与え続ければ使えるようになる使用である。
ラキア「いや、まだなんだが、後少しだな。」
リオン「狩技を使えれば、形勢逆転と、いけると思うんニャけど...」
あっ、と何かを思い付いたようにラキアが声を上げる。
ラキア「いいこと思い付いた。ちょっと耳貸せ。」
詳細を話すと・・・
リオン「危険だけど、いいのかニャ?」
ラキア「ああ、運任せだな。」
しかし、それが彼にとっての策だった。
エリア4に入ると、ドスゲネポスはアプケロスの死肉を食っていた。
ラキア「第2ラウンドだ。行くぜ!」
リオンが鬼人笛を吹く。体のそこから闘志が沸き上がって来るようだ。
奴は食事中なので隙だらけである。
脚に一撃、さらに二撃。それから片手剣得意の連続コンボを決めていく。
最後に水平斬りを与えて、ようやくドスゲネポスがこちらに振り向く。
ギュオッギュオッガァァ!
口から白い吐息がでてくる。モンスターが、怒り状態になった印だ!と、訓練所で聞いたことがある。
反撃開始だ!と言わんばかりに、ドスゲネポスは、怒濤の連撃をしてくる。ガードと回避でやり過ごし、隙をみて攻撃する。
それを繰り返しているうちに、とうとう狩技ゲージが溜まる。
ラキア「よし、リオン!作戦どおりにやるぞ!」
するとリオンは地面に潜り、出てこなくなる。
それを確認して・・・
ラキア「『絶対回避』!!」
絶対回避を使用して距離を取り、そして・・・
倒れ混む。麻痺毒が効いた訳ではない。しかしドスゲネポスは、麻痺毒が効いたとみて、ゆっくり近づいてくる。子分達も同様だ。
ラキア「(かかった!さて、さっきの仕返しといこうじゃないか。)」
こっそり、鎖の留め具を外す。
ドスゲネポスどもが噛みつこうとした瞬間、起き上がり・・・
ラキア「戦斬!!」
鎖が最大まで延びて、だらりと垂れ下がる。
反時計回りに二回転、時計回りに一回転、威力重視のラウンドフオース[戦斬]、子分達は吹き飛び、親分は怯んだ。その後ろから、リオンが飛び出し、上空からアイアンネコソードを突き刺す。さしずめ、【奇襲ジャンプ攻撃の技】と言うべきか。そのまま乗り攻撃に派生する。これが成功すれば、決着は着くはずだ。
案の定、乗りは成功し、ドスゲネポスは起き上がろうとするが、脚が地上に着かない。
ラキア「ここで決めるっ!でゃぁぁぁっ!」
リオン「ウニャーーーーー!!」
彼らは今できる最大の攻撃を浴びせる。そしてドスゲネポスは、二度と起き上がることはなくそのまま沈黙した。
終わった・・・・・・
初めての大型モンスター狩り、果てしない達成感が込み上げてくる。
リオン「感動するのはいいけれど、早く剥ぎ取るニャ。」
リオンはもう、いつも通りの冷静さを取り戻していた。
何も感じないのかよと聞くと
リオン「そりゃぁ大型モンスターを狩れたのは嬉しいニャ。でも、相手だって生き物ニャんだから、そこらへんは複雑だニャ。」
相手だって生き物、か・・・こっちだって、生きていくためにはこうするしかない。って、どっちもどっちだなそれ。
ラキア「とにかく帰るぞ。今日は早く休もっと。」
最後、後味悪くなったが
狩猟成功