あの、ごめんなさい失踪してました。
本の中の旅人達
第三話 開戦のベル
エリア4
太陽が頂点に近づき始めた頃。
「暑い...暑い........もう歩けないわ!」
旧砂漠の熱が次第に彼らの自由を奪って行く。
「仕方ねぇなぁ少し休憩とるぞー。」
メリナの声を聞いたアキスケは、『同意』という表情を浮かべる。
そしてエリア5に行くはずだった足を止め、エリア3への方向へ歩き始める。
エリア3
旧砂漠で数少ない湖があるエリア。
草木が豊富で、それを餌とするアプケロスなどの草食竜などがいる。
夜には湖の水位が下がり、エリア7との行き来が可能になる。
「ふう〜疲れたわ〜。」
そう言ってメリナは岩の壁に腰掛ける。
その腰掛け方はまさしく二日酔いのおじさんのようだ。
「まだ、半分も来てませんよメリナさん。」
そう言うキリトも水筒に水を入れるために湖面に目を向け、自分の疲れた顔を見る。
ジェームズは荷車の中の調理器具を真剣な目で点検している。
「あっ!坊主俺の水筒にも水い...」
ドドドド....ドド...ド!!
岩を転がしたような大きな音が響き渡ると共に大きな振動が起きる。
「みんな伏せろ!」
アキスケの大声でキリトたちはその場に伏せる。
そうしていると次第に音も振動も引いていく。
そして何事もなかったような静けさがエリアに現れた。
「何?地震?」
「ジェームズ外見に行くぞ。」
そう言って、アキスケは鞘から大剣を引き抜く。
ドドドドド....ドドド...
どんどん振動は大きくなっていき、砂が舞い始める。
ドッシャーン!
砂埃が舞い上がり、大きな甲羅を背負ったものが現れる。
そのものは赤いハサミを振り回しながらゆっくりとこちらを振り向く。
「やっぱりこいつだったか。」
「ギギ、ギッシャーァァァ!!」
咆哮という名の開戦のベルが鳴り、その巨体が姿を見せる。
「盾蟹...ダイミョウザザミ。」
続く...