もうひとつの物語、外伝
〜村最終クエストの洗礼〜
最後の招待状編続き
さぁてと、どうするか。怪力の種による力の増幅はまだ残ったまま
相手は怒り状態、こっちの狩技は…溜まっているのが2つ
実戦で試すときが来たわけか
『はぁああああ!!!』
…うん、何か言ってるがおそらく誰を狙うか分かりにくい縦なぎ払い(?)ブレスでもしようとしているのだろう。普段なら横に回避して溜め斬りをぶち込むのだが、これはそうじゃないからな。
「こいよラージャン、全力をぶつけて来い」
ラージャンの目の前で、力を溜め込む。無防備だが、そんなことはいい。ラージャンが攻撃してくるまで、ひたすらに溜める
『ギ○○○○砲ー!!!!』
予測通りというべきか、ブレスを撃ってきた。俺はこれを待っていた。しかし一つだけ想定外だったことがある
「ぐっ?!」
地が持ち出した防具の防御力がそこまで高くなかった。いつもの感覚で喰らっても問題ないだろうと思っていたのだが…
俺の体力の9割を消し飛ばされた
しかし…!
「(あの野郎…!)この…!」
ガチッ!!!!
「ゴリラやろうがぁあああああああああああ!!!!!!!」
ズゴォォォォオオオオオオン!!!!!!
『ふぉお?!』
震怒竜怨斬は、受けたダメージを上乗せして、相手に強力な一撃をぶち込む技。肉を切らせて骨を断つを具現化したかのような技だ。
俺の消し飛んだ体力を、一撃に入れ込んだ…。想定外ではあったが、威力も想定外だ。闘技場に轟音を響かせるほどにな。
だが、体力がなんとか動けるくらいしか残っていない事、そして相手はまだ怒り状態…
『くそったれぇ!!』
さっきの一撃が効いていることはわかるが、その様子はあまり見えない。まだ足りない…
俺の体力も限界に近いのか、意識が朦朧とし始める。これはまずい
一度体勢を整えるか?そう考えようにもモドリ玉を持ってきてはいない。ならばもう終わらせるしかない。
狩技が…残っている。あと一つ。それは…
「ラージャン…ここがお前の死に場所だ…!」
「地衝斬!!!!!」
「おーい、目覚めたかー」
聞きたくない声が俺の耳に響く…なぜ地がここに…
「くっ…一体何がどうなったんだ」
気が付いたら俺は村に戻ってきていた。
…おかしい。さっきまで俺はラージャンの相手をしていたはず。仮に力尽きたとするならば、俺はまだ闘技場にいるはずだ
それなのになぜ村に戻ってきている?あと地の顔が誰かに叩かれた跡が残っているのだが…
「あー、記憶抜けてるな。んじゃ俺が簡単に説明しm」
「碧さん!目が覚めたのですか!」
「やっと起きたのね…安心したわ」
「超人かとあたいは思ってたけど、そうじゃないみたいね」
地が経緯を説明する前に三人が奴を踏み倒した。あー、なるほど。あの跡はお前らがやったのか。俺の代わりによくやった。
「でも驚きましたよ!スタイルがギルドではなくてストライカーにしてたこと!」
残妖がそう言うが、そこはやっぱり聞かれるなとは思っていた。
なんとなくソロでやるなら、大剣の狩技を使ってみたかっただけに過ぎない。
ギルドだと2つだから、ストライカーで無理やり3つにしただけ…なんだがな。
「なんとなくだ、なんとなく…それより震怒竜怨斬ぶち込んでからのことを聞きたい。記憶にないんだ」
とりあえずスタイルの件は軽く流す。俺はその後のことが知りたいからな…残妖にはちょっと悪いと思うけども
「あのあとですか…碧は私達が使うとは思ってもいなかった狩技、地衝斬を使い、もう一体のラージャンをしとめたわよ」
「だけどそれを使ってすぐ倒れてしまった。だからあたいらが村まで運んで今に至る。」
…つまり俺は力尽きた?
クエストクリアと同時に…?
…なんか納得がいかない。だが制約された条件内で、最後の招待状をクリアできたのだからそれでよしとしよう。
まだ体が回復していないか。…ならば
「そうか、分かった。ちょっとこんがり肉とその他含めてたくさん持ってきてくれ。活性化させて体を修復する」
そして…
地、お前を許さない
最後の招待状、クエストクリア