Re: モンハン小説 6代目( No.42 )
  • 日時: 2018/03/26 22:35
  • 名前: エンフェルネ (ID: fcShKnZk)

生還。

ハンターズアドベンチャー 〜エピソード ダブルクロス〜

第1話「理不尽な世界」


廻斗達は、天津が乗って来た小型飛行船に乗り、復讐に関する話をしていた。

廻斗「"詩衣葉"……。よくも……。」
天津「まさかこんな事になるとは……。生かしてはおけないな。」
妃弓花「そうですね。轟華の仇を必ず取りましょう。」
グナイアクト「して、行き先はどうする?」
天津「亜樹が関係してるという事は、謎の組織が怪しい。組織のアジトに向かおう。」
グナイアクト「了解した。」

天津は運転席に向かい、小型飛行船を運転し、離陸した。

廻斗は何か気になった様子でグナイアクトに話しかけた。
廻斗「なぁアクト。」
グナイアクト「なんだ?」
廻斗「昔兄さんと何かあったのか?この事態だからかもしれないけど、兄さんと話す時だけ表情がやたらと硬くなるからさ。話したく無ければ話さなくて良いけど…。」

グナイアクトはそう言われると、意を決した表情で廻斗達に話した。
グナイアクト「そういえば、言ってなかったか。実は、天津と……違うな、『伝説のハンター』と、俺達『神四天王』はただならぬ因縁がある。」
廻斗「因縁……?」
グナイアクト「……『カナタの龍天災』。」
廻斗「!!! それって……。」
グナイアクト「天津の故郷だ。約1年前に巨大な龍によって焼き尽くされた。その龍の正体が、……神四天王の一人、『アグルドン・ドラバレイク』」
廻斗「!!!?」

廻斗は驚愕とした表情でグナイアクトを見た。近くにいた妃弓花も、「アグルドン」という言葉に反応し、すぐさまグナイアクトの所に向かい、問いかけた。
妃弓花「今……なんて言った……?」
グナイアクト「……お前のその力を与えた奴だ。」
妃弓花「アグルさんが……私達の村を……?そんなわけ……!」
グナイアクト「『私達の村』……?……そうか、そういう事か……。」
妃弓花「どういう事なの!?話して!」
廻斗「場合によっては……許さないからな……?」

廻斗と妃弓花は鬼の形相でグナイアクトを睨む。それに対して、グナイアクトは尚も表情を動かさず、淡々と話した。

グナイアクト「あの村……『カナタ村』には、倒さねばならない存在がいた。……『影南 弥太流』。7人の伝説のハンターの内の一人だ。廻斗達も、名前は聞いた事があるはずだ。」
廻斗「ああ、知ってるさ。弱者を虫を見るような目で卑下する奴だろ。そんな奴が伝説のハンターなんておかしいと思ったが、事実らしいな。で、続きを。」
グナイアクト「あいつは廻斗の言う通り、伝説のハンターと呼ばれているのが馬鹿馬鹿しく聞こえる程の外道だ。俺の仲間の一人は……あいつによって精神を崩壊させられ……死んだ。」
廻斗・妃弓花「…………!」
妃弓花「なんて奴だ……。でも、それが村を破壊した理由なの?そいつだけに復讐は出来なかったの?そもそも……私達が見た龍は、明らかに泡斬だった……!どういう事なの!?」

妃弓花の感情が抑えきれなくなりかけた時、飛行船の動きが止まった。そして、天津が運転席から戻ってきた。

天津「丸聞こえなんだよなぁ……、全て。」
妃弓花「天津さん……!一体、どういう事なんですか!?」
天津「まあ簡単に言うと、神四天王の奴らは復讐の為に弥太流を殺そうとした。しかし、弥太流の奴はあろう事か、カナタ村に立て篭もった。我慢の限界に達した『龍の神』は、泡斬の龍形態を模した姿に変化し、村を焼き尽くした。」
廻斗「ちょ、待てよ、兄さん!じゃあなんで、今こうやって神四天王と伝説のハンターが一緒に居れるんだ!?」
天津「さっき覇の神が言ってた筈だが、弥太流は俺と同じ伝説のハンター。そして、弥太流は神四天王の一人を実質的に殺した。つまり、こちら側にも非があると言う事だ。そして、覇の神も今回の復讐に協力すると言っている。争う理由は何も無い。」
廻斗「でも、こっちは何人も死んでる!失った命の重みが全く釣り合ってないじゃないか!それで良いのかよ!?」
天津「もちろん、失った物は大きい。俺だって復讐したい。だが、命を奪ったという事実は一緒。何より、先に殺したのはこちら側だ。責任としては、こちら側の方が大きいという事になる。」
妃弓花「……納得が……いきません……。」
妃弓花は、悔しさを表情に露わにした。

天津「……そうだろうな。俺が妃弓花だったとしても、そうなる。でも、認めなくちゃならないんだ。そう、この世界は理不尽で出来ている。認めたくなくても、現実が無慈悲にも認めさせようとする。その力は計り知れない。この世界に生きていくなら、否が応でも認めなくてはならない……。」
妃弓花「…………。」
廻斗「そして、挙句の果てには妹もその理不尽で失った……。……何なんだよ……この世界は……。」
廻斗と妃弓花は、絶望にひしがれていた。そんな二人に、グナイアクトは謝った。

グナイアクト「俺たちのせいで、こんな目に遭ってしまって……。済まなかった。」
妃弓花「……済まないで済むと思ってるの?」
妃弓花は怒りを露わにした。

妃弓花「理由がどうであれ……私達の故郷を滅ぼしたのがあなた達なのは変わりが無い。そんな奴らに謝られても、許す訳が無い。」
廻斗「妃弓花、落ちつけ……」
妃弓花「落ち着ける訳が無いでしょ!!」
妃弓花は、廻斗に怒鳴りつけた。そして、怒りの声を飛ばした。

妃弓花「廻斗。あなたの左にいる奴の仲間が私達の故郷を滅ぼした。それなのに、何故そんなに落ち着いていられるの?」
廻斗「……兄さんが言っていただろ。理不尽を認めろと。」
妃弓花はその言葉を聞いた途端、おもむろにツインメイルを取り出し、廻斗に切っ先を向けた。

廻斗「!?」
天津「妃弓花!何を……」
妃弓花「そうか。そうなんだね。廻斗は自分の意思を捨てちゃったんだね。故郷を滅ぼされても、どうでも良いんだね。轟華の事だって……諦めているんでしょ?」
廻斗「はぁ?何を言って……」
妃弓花「誤魔化しても無駄。あなたは悪魔の囁きに心を奪われた。なら私がその心を救ってあげる。……こうやってね!!」

妃弓花はツインネイルを振りかぶり、廻斗に向かって思い切り振り下ろした。


続く


目次>>29